当時定価データで見る原付の歴史
「原付は昔いくらだったのか」。当サイトは、発売当時のメーカー希望小売価格を一次出典つきで記録しています。ここでは検証済みの当時定価データを年代別に集計し、価格がどう動いてきたかを読み解きます。数字はすべて当サイトDBの実データで、確認できない値は集計に含めていません。
当時定価データの全体像
当サイトが当時定価を確認できた型式は268型式。その平均は166,563円、中央値は159,000円です。平均と中央値が近いことから、価格が極端に偏らず、幅広い価格帯に型式が分布していることが読み取れます。最も安いのはスズキ コレダK50の55,000円、最も高いのはホンダ モンキー125(JB02)の399,600円で、最安と最高の差は7倍を超えます。ここでいう「当時定価」は発売当時のメーカー希望小売価格であって、現在の中古相場ではありません。定義は用語集「当時定価」を、個別の順位は当時定価ランキングで確認できます。
年代別の平均当時定価
年代ごとに平均をとると、次のようになります(かっこ内は集計に使った型式数)。
| 年代 | 平均当時定価 | 型式数 | 今のお金で(2025年換算) | 一覧 |
|---|---|---|---|---|
| 1960年代 | 78,615円 | 13 | — | 1960年代 |
| 1970年代 | 96,900円 | 44 | およそ227,000円42型式 | 1970年代 |
| 1980年代 | 155,438円 | 94 | およそ214,100円93型式 | 1980年代 |
| 1990年代 | 210,787円 | 55 | およそ251,000円54型式 | 1990年代 |
| 2000年代 | 179,463円 | 35 | およそ209,300円34型式 | 2000年代 |
| 2010年代 | 260,570円 | 24 | およそ298,700円24型式 | 2010年代 |
※「今のお金で」は当時定価に消費者物価指数(総合)の伸びを掛けて2025年の水準に揃えた単純換算の目安です。換算に使う指数は1970年からのため、1960年代は換算していません。また、年代ごとの型式数が名目より少し減るのは、代表にした価格の年式がその型式の発売年代からはみ出す場合(長く売られた車種など)を実質の集計から外しているためです。(基準: 2020年=100/出典: 総務省統計局「消費者物価指数」全国・年平均)
データから読み取れる傾向
この年代別平均からは、いくつかの傾向が読み取れます。まず名目額(当時の値札そのまま)で見た動きです。
- 1960年代から1990年代にかけて、平均当時定価は上昇していく傾向が読み取れます。
- 2000年代は平均が一旦下がっています。低価格の4ストロークスクーターが普及したことが背景にあると読み取れます。
- 2010年代は再び上昇しています。装備の高度化や排出ガス規制への対応が価格に反映されたと読み取れます。
名目でもっとも高い平均を示すのは2010年代で、最も低い1960年代のおよそ3.3倍です。ただしこれは各年代で集計できた型式数が異なる(1980年代は94型式、2010年代は24型式)点にも注意が必要で、平均値は集計対象の構成に影響されます。
物価をそろえると「値上がり」はほとんど消える
ここが、名目額だけを見ていると読み違えるところです。同じ10万円でも、1975年の10万円と2005年の10万円では重みが違います。上の表の右端のように物価をそろえて比べ直すと、原付の価格は次のように見えてきます。
- 年代による差はほとんどありません。名目では最高と最低で3.3倍の開きがありましたが、今のお金にそろえるとおよそ1.4倍(最高の2010年代 約298,700円/最低の2000年代 約209,300円)に縮みます。名目で見えていた右肩上がりの多くは、原付が高くなったのではなく世の中の物価が上がっていたぶんだった、と読み取れます。
- 実質でいちばん買いやすかったのは1980年代と2000年代です。1980年代は約214,100円、2000年代は約209,300円。2ストローク全盛で量産が効いた1980年代と、低価格な4ストロークスクーターが広がった2000年代が、実質では底になっています。
- 2010年代だけは実質でも明確に上がっています。約298,700円で、実質の底より4割ほど高い水準です。物価の伸びでは説明しきれない上昇で、排出ガス規制への対応や装備の高度化といったコストが、実際に価格へ乗ったと読み取れます。
あくまで平均値の推移から見える傾向であり、個々の車種にはそれぞれ事情があります。1台ずつの換算額は各車種ページの「当時定価」表と、当時定価ランキングの「今のお金に直すと高かった絶版原付」で確認できます。年代別の車種は各年代別一覧から一台ずつたどれます。
エンジン方式の内訳
当時定価を記録した型式のエンジン方式の内訳は、2ストロークが205、4ストロークが105、電動が4です。2ストロークが多数を占めることは、当サイトが記録する年代の中心が2ストローク全盛期にあることと整合します。2ストロークは軽量で高出力を出しやすい一方、排出ガス規制の強化により2000年代にかけて4ストロークへと移行していきました。4ストロークは燃費・排ガス・静粛性に優れます。この移行は、2000年代に低価格な4ストロークスクーターが普及して平均当時定価が一旦下がった動きとも重なります。2ストと4ストの違いは用語集「2ストローク」と用語集「4ストローク」で解説しています。
電動が4型式にとどまるのも、当サイトが記録する年代の中心が内燃機関の時代にあることを示しています。価格だけでなく型式やスペックまで含めて車両を比べたいときは当時定価ランキングや各モデルページをご活用ください。年代ごとの顔ぶれを一台ずつ見比べたい場合は、1990年代や2010年代など各年代の一覧が入口になります。
出典: 当サイトが一次情報にもとづき収集・検証した当時定価データ(当時定価つき268型式)を集計したもの。個別の価格の出典は各モデルページに掲載。